プラスチックを食べて
海の生きものが苦しんでるよ!助けなきゃ!

わたしたちは今「海をまもろう。」という団体の形をとって、ビーチクリーンを始め、環境問題を感じるワークショップ、イベントの開催、イベントへの出展など様々な「ごみをへらすための活動」していますが、もともと環境活動が好きだとか、活動家になりたいと思っていた訳ではありません。
どこにでもいるただの家族がある日、ビーチクリーンをはじめたんです。
きっかけになったのは、当時まだ小学一年生・7歳の娘の
「プラスチックを食べて海の生きものが苦しんでるよ!助けなきゃ!」という思いからでした。
ビーチクリーンを始めてからたくさん勉強して、たくさんの方に出会って、どんどんビーチクリーン自体が好きになったし、この活動の楽しさをたくさんの人にもっと伝えたくなりました。
そして、今ではたくさんの人が「海をまもろう。」を応援してくれて、興味を持ってくれて「海をまもろう。」のはじまりについて尋ねてくれます。
ビーチクリーンのやり方すら知らなかった私たちは、がむしゃらに今日まで突き進んできました。
今日はそんな環境問題ド素人の普通の家族がビーチクリーンを始めるに至った経緯をお話しします。
「おかあさん、海の生きものがプラスチック食べて苦しんでるよ!」

当時小学1年生だった長女が学校から帰宅すると私に言いました。
「おかあさん、海の生きものがプラスチック食べて苦しんでるよ!かわいそうだよ!助けなきゃ!」
学校のお昼の放送で海の生きものがプラスチックごみを食べてしまってると聞いたそうです。
「おかあさん、マイクロプラスチックって知ってる?」
「おかあさん、海のごみを拾いに行かなきゃ!」
詳しくはないけれど、なんとなくは知っている。
そんなレベルでしか認識のなかった私は、当時まだ1歳にならない三女を寝かしつけながらその話を聞いたのでした。
「そうだね、可愛そうだよね。なんで海にごみを捨てる人がいるんだろうね」
そのときの私の返事はこうでした。
知識もなく、自分はごみをしっかり捨てているという思いもあり、そういった状況はごみをポイ捨てするだれかのせいだという認識でしかない状態で返事をしました。
そんな認識だったので「海のゴミ拾いにいきたい」という娘の思いに対しての応えませんでした。
三女も小さく、こんな状態でゴミ拾いにわざわざ行く、、、なんて考えられない。行動できない。
毎日学校帰りにごみ拾いをする娘
そんなこんなで私は「海へごみ拾いに行くこう!」という長女の誘いをなんとなく断りつづけました。
娘は毎日学校帰りにごみ拾いをするようになりました。
そんな長女の気が済むように私はゴミ袋をたくさん持たせました。

「今日はこんなのが落ちてたよ」
「田んぼとか畑に落ちてることが多いよ」
「雨が降ったら、このままドブ(側溝)みたいなとこ流れて海に行っちゃうよ!」
「海の生きものだけじゃないよ。散歩してる犬とか、猫とか、たぬきとか他の動物も食べちゃうよ」
そんなことを言いながら娘は1年近く学校帰りのごみ拾いを続けました。




その度に「海のごみ拾いに行こう」と言われました。
すごい執念。ぜんぜん諦めない…むしろ思いは強くなっていく。
そんな娘の姿を見てついに私の重い重〜い腰があがりました。
そもそもビーチクリーンってなに?どこでやってるの??

「海のごみ拾いに行こう」と言われ続けているうちに、三女も1歳をすぎました。
てくてく歩くようになり、寒いけど(2月)ビーチクリーン行ってみよう!と思いましたが、いざ行こうと思ってから気づきました。
あれ・・・?ビーチクリーンって検索してもなかなか出てこない…
そもそも近所でやってる情報がない?
どこに行ったらできるの?
探してやっと見つけたのが御前崎・久々生海岸(くびしょうかいがん)で活動をしているNPO法人Earth Communication(アースコミュニケーション)さん。
よし、少し遠いけど行ってみよう!
でも、申し込みとかいるの?行くだけでいいの?何持っていくの?
え?ビーチクリーンってごみ拾いだよね?
?????のまま当日を迎えました。
でも、最初に行ったビーチクリーンがここで良かったとおもいました。

ごみ拾いの他にも、子どもたちへ海や川や里山などでの自然体験活動、まちの未来を育くむきっかけを作ろうと御前崎を中心に活動している団体さんでした。
はじめてのビーチクリーン・御前崎で知る海ごみの現状
御前崎での初めてのビーチクリーンは、農業の肥料の空袋などが配られてビーチクリーンスタート!という感じでした。
私(筆者で当団体代表momo)自身は、知人の誘いで昔定期的にバイパス沿いのごみ拾いに参加していた時期がありましたが、当時の印象からビーチクリーン(つまりごみ拾い)って子どもがやって楽しいのかな?と思っていました。
娘3人を連れての参加ですが、長女が小1、真ん中が年少さん、一番したは1歳です。
寒いし、飽きてぐずったり、、、、、しないかな?と母親としては一抹の不安もありました。
でも、いざ始まってみると子どもたち夢中で拾って、飽きることもなく楽しそうにしていました。


そして、とにかく驚いたのは、一目でわかるほどのごみの量
誰かがポイ捨てしたもの、、とかそういうレベルじゃありませんでした。

娘からも何度も聞いていて、自分でもあらかじめ調べていた「マイクロプラスチック」とやらは本当にあるのか?
しっかりと “ごみを見よう” として
初めて意識して視線を落とした日でした。
一生拾っても拾いきれない「大量のごみ&マイクロプラスチック」
さがすまでもなく・・・ありました。大量のごみの中に大量のマイクロプラスチック。
しかもこんなふうに土や砂や流木と混ざってるなんて…

ほんとに小さい、米粒よりも、もっと小さい。
よくみるとプラスチックの破片がそこに、ここにも、そっちにも・・・・。
海岸の砂と細かなに砕けた流木の破片に、混ざり込むようにして、ずっと広がっている・・・。
絶望ってこういうことか…と思いました。
軍手をはめた手では拾えないほど細かい。拾っても拾ってもきっと終わりはこない。
現実をつきつけられた瞬間でした。
ビーチクリーンしたところで意味があるのか?
マイクロプラスチックだけではありません。
想像以上にごみだらけの海の姿に私たち家族は途方にくれました。
毎週毎週、流れ着くという、大量のごみ。




見ようとするまで、本当に小さくて気がつかなかったけど、あたり一面マイクロプラスチックだらけ。
拾っても拾っても無くならないごみ。
ビーチクリーンしたところで意味があるの?
大きいごみから拾う? でも・・・そうするとマイクロプラスチックにまで手が回らない。
でも、マイクロプラスチック拾わないと、海の生きものが誤食してしまう。
ごみだけ吸える掃除機開発するしかない?
いやいや、 そもそも、ごみ拾うよりもごみを出さない生活の提案が必要なのかも・・・?
え・・・?これってゴールどこ?
頭の中でぐるぐる…目の前の現実と向き合い続けました。
はじめてビーチクリーンした日、ゴミだけでなくアカウミガメの頭骨を拾いました。

それを見て、このごみがあふれる海に、生き物たちが生息しているんだという事実を実感しました。
ポイ捨ても1つの要因ですが、それだけではない。
私たちの生活の中からごみが溢れ出ている。
これはポイ捨てをやめたら終わる問題じゃない。
この問題に関係な人なんて1人もいない。私も当事者だった。
娘の誘いに乗って良かった。ゴミを拾っただけだけど、新しい世界が見えた。
この歳で初めて知る現実がありました。

もちろんごみだけ吸える掃除機なんて作れません。
じゃあ、私にできることはなんだろう・・・?
御前崎でビーチクリーンをしながらずっと考えました。



吉田町でビーチクリーンをはじめよう
もっと近くでもやってるとこあるかな?
吉田でビーチクリーンがあるならそこに参加しよう!そう思ったけど探してもビーチクリーンをやってる情報に行き着きませんでした。
※あとから知ったことですが、
吉田町の海では、毎月サーファーさんたちがビーチクリーンをされていることを知りました。
他にも個人でやられている方、自治体や会社で取り組む方々など、たくさんの海をきれいにしてくれている人がいます。
なら一度家族でビーチクリーンをしてみよう。吉田町の海を知ってみよう。
従兄弟たちも誘ってみんなでビーチクリーンをしました。



御前崎の海とはごみの種類は違うけど、マイクロプラスチックをはじめ、たくさんのごみを拾いました。
そして子どもたちはとっても楽しそうにビーチクリーンをしていました。
大事なのは続けること。続けていける環境。
そして知ってもらうことと仲間たち。
こんなに海が近いのに、やってる人を見つけられないなら自分たちで始めよう。
さぁ!海をまもろう!
自分たちではじめよう!なんて思ったはいいけどビーチクリーンって申請がいるの?許可制?
ゴミ袋とかどうするんだろう?
集めたごみはどうするの?
どうやって告知するの?
右も左もわからなくて、自分の住んでる市と吉田町に電話をかけてききました。
そしたら吉田町ではボランティア用にゴミ袋を提供してくれる&ごみも回収してくれることがわかりました!
後日袋をいただきにいって、分別の仕方などを伺いました。
そして娘とビーチクリーンのチラシを作り、学校の友だちに渡しました

バケツもいくつか購入!娘の描いた絵をシールにしてはりました。
7歳だった長女の発案でビーチクリーンの団体?この活動の名前は「海をまもろう。」に決まりました。

連絡手段はどうする?
個人LINEをチラシに乗せるのもちょっと抵抗が、、、
じゃあ公式LINEを使ってみよう!
こうして、わからないなりに急ピッチで準備をして、仲間を募り2022年の3月20日にビーチクリーンをスタートしたのでした。
ビーチクリーンをやる意味を知る
ビーチクリーン素人なりに、準備して迎えた1回目のビーチクリーン。
友達が声を掛け合ってくれて、娘の学校の友だちが集まってくれました!
集まってくれた子どもたちに「楽しかった」と思ってほしい。
そしてビーチクリーンをすることの意味やごみをなぜ拾うのか?を知ってほしいという思いからクイズを用意しました。

ビーチクリーンをはじめてからアカウミガメが静岡でもみられることを知りました。
そしてこのアカウミガメが食べるクラゲとビニール袋がそっくりなことも知りました。
こうして、学校の友達が集まって35名で初めてのビーチクリーンが無事に終了しまいした!

そこから、とにかく子どもたちが楽しい!そんなごみ拾いを目指して続けることを目標に突き進みました。
毎回子どもたちに出すクイズのためにもたくさん本を読み、たくさん調べました。
そしていろいろな素晴らしい技術や、人の頑張り、素敵な本も知りました!
「こんなふうにすればごみは減るんだ!」と日常生活で自分でもできるごみ削減の方法なども知りました。
同時に、こんな未来がきたら困る!という現実や未来予測もたくさん知りました。
娘は海の生きものを守りたくて、ビーチクリーンを始めたけれど私は母親として、子どもたちの未来のためにやれることはすべてやる!そんな気持ちになりました。
そして楽しそうにごみを拾う子どもたちの姿を見て「子どもたちが楽しんでいるうちに未来はきっといい方向に変わっていく」と思いました。






こうして、環境問題ド素人のただの家族はビーチクリーン団体を始めることになりました。
これが「海をまもろう。」のスタートです。
今ではたくさんの仲間たちが、自分のペースで来れる時に、集まってくれています。
ビーチクリーンを始めてから、人の集まることのすごさをしりました。
どうしたって1人では解決できない。家族だけでは拾いきれない。
みんなに声をかけて良かった!
そしてまだ出会ってないみんなと出会えるように、ビーチクリーンがしたい人が調べたら情報が出てくる状態にしておきたい。
知ってもらって、仲間が増えたらもっと拾える!
気軽に参加できる場所でありたい。
いろいろな思いと1つづつ向き合いながら今日までみなさんの支えでつづけることができました。
ありがとう!
おわりに:「世界中の海のごみを拾ってまわりたい」

ビーチクリーンを始めてから、長女の言った言葉です。
世界中の海のゴミを拾って、海の生きものを守りたい、と。
この海はどこかの遠い外国ともつながっていて、そこではどんなごみがあるのか?
どんなゴミ事情があるか、見たこともないし、知りません。
でも、ごみは人間の生活そのもの。
生きている限りごみを出さない人間はいません。
国によって生活が違えば、ごみも違う。だからこそ知ってみたい。
きっと想像を絶するような状況も目にするかもしれなし、すっごい画期的な技術も知れるかも。
どんな世界が待っているかわかりませんが、きっとその中でも自分のやれることはあるはず!
我が子だけでなく、すべての子どもたちが安心して暮らせる未来が100年先も200年先もずっと続きますように。
「ごみ拾い」や「ビーチクリーン」なんて言葉は、
歴史の教科書にのるくらい過去のことになりますように。
(未来にはもう教科書はないかな…w)